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「NO DU劣化ウラン兵器禁止を訴える第3回世界大会」(8月3日〜6日・広島)に参加して |
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『ウラン兵器禁止を求める国際連合』(ICBUW=International Coalition to Ban
Uranium Weapons)。2003年10月、ベルギーで結成。本部事務局はアムステルダム。2006年5月現在、参加団体は、アメリカ・イギリス・日本・ドイツ・オランダ・ベルギー・イタリアの7カ国15団体、賛同団体は20カ国80団体にのぼっている。 |
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世界12カ国からの40人以上と、日本全国からの参加者をあわせ、約400人が参加。
今回の大会は、「ヒロシマから世界へ―届けよう“劣化ウランヒバクシャ”の声を!」との呼びかけに応え、全世界から劣化ウラン被害者、活動家、科学者、法律家、ジャーナリストなどが広島の大会に参加。最新の科学的研究から世界的な劣化ウラン問題に関する議論に至るまで、劣化ウラン問題全体を網羅するような50を越える報告がなされた。
大会の冒頭には、平和市長会議の議長でもある秋葉忠利・広島市長が歓迎の挨拶。 |
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ヴァルタニアンさん(環境放射能測定技師)は、住民が戦争による劣化ウラン汚染に曝され続けている実情を報告。彼が報告した汚染箇所の地図は、それらの汚染地点が市内のあちこちにあり、市街地のごく近くに位置していることを示している。アル・アリ医師(アルセイダー教育病院内科医長・癌センター所長)は、バスラでは過去8年間に固形癌の罹患率が約1.4倍に増加し、人口10万人あたり44.7件から61.5件に増加しているとの最新の疫学調査の結果を報告。彼は、1991年以来この地域にもたらされた、ウラン兵器をはじめとする戦争による深刻な環境破壊がその要因であると考えられると述べた。アル・アリ医師は、基本的な機器や医薬品の不足する中で治療にあたっているイラクの医師たちの困難な状況を語り、医療支援と、独立した汚染・疫学調査への国際的協力を訴えた。 |
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ハーバート・リード氏、デニス・カイン氏の報告(2人とも帰還兵)。
湾岸戦争とイラク戦争の帰還兵の中に、健康調査・治療と補償を求める運動が広がっている。いくつかの州では帰還した州兵の劣化ウラン汚染検査、健康登録を行う法律が制定された。
独自の検査で汚染が確認された(尿の劣化ウランが陽性に出た)ハーバート・リード氏は、他の8人の帰還兵とともに、国に対して(危険性を知らせずに従軍させた事に対する責任を問う)裁判に向けた準備を進めている。 |
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『湾岸・アフガン・イラク戦争退役軍人慈善団体』理事のレイ・ブリストウ氏は、イラクでの軍務の後、いかに健康を害されたかについて語った。 |
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現役の軍人フィリッポ・モンタペルト氏は『オッセルバトーレ・ミリターレ』(軍事・治安及びイタリア国家警察関係者人権擁護団体)を代表して参加。バルカンからのイタリア帰還兵に癌が急増していると述べ、「バルカン症候群」に苦しむ兵士たちの(補償要求への)法的支援について報告。これまでに(国防省に対して年金補償を求めた)二つの訴訟で兵士側が勝訴。イタリア国防省は、劣化ウランの影響を認めようとはせず、ストレスや食事が悪かったために兵士が病気になったのだとしている。 |
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ICBUWメンバーが劣化ウラン反対国内連合を創設することを決定。「ドイツ・クラスター爆弾キャンペーン」など、他の紛争後(支援)や軍縮NGOとの連携も重要だと報告。 |
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フォトジャーナリストで平和活動家のイ・シウ氏。
アジアに貯蔵されている米軍基地内の劣化ウラン兵器の危険性を強く訴え。
「沖縄の嘉手納基地に40万発の劣化ウラン弾が2001年に保管されていた」とのニュースが大会の直前に日本の全国紙(毎日新聞)のトップ記事に掲載されたが、この砲弾の数は、1991年の湾岸戦争時に米軍が使用した砲弾の半分にも相当するもの。これはハワイ在住のイ・シウ氏の友人が、アメリカの情報公開法に依って公開させた機密文書に基づくもの。彼は「韓国と沖縄の米軍基地に大量のウラン兵器が貯蔵されている。その数量の実数と記録上の数にかなりの差があり、どこかに紛失してしまっている。劣化ウラン兵器の貯蔵と管理に深刻な問題があることを示している。」 |
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様々な専門分野の科学者が、劣化ウランの放射能毒性と化学毒性についての具体的なデータに基づいて、特に自然界には存在しないような劣化ウランのエアロゾールによる内部被曝が、人々の健康と環境に有害な影響を及ぼすと述べた。
しかし、被曝した人々にみられる疾病との因果関係などについては、未だに議論もあり、今後の調査研究を待たねばならない。しかし、「予防原則」に基づいて各国政府に圧力をかけることができるほどの十分な知見は得られているという点については一致。特に劣化ウランの化学毒性については議論の余地はなく、「劣化ウランが安全だ」というのであればその「実証義務」は兵器を使用した政府や軍の側にあり、被害を受けた市民や兵士、NGOや科学者に「因果関係の実証義務」を押し付けるべきではないことでも一致。 |
*「予防原則」=「たとえ因果関係が完全に明確に証明されていなくても、科学的に環境への深刻な、取り返しのつかない危険性があると考えられる場合には、具体的な方策に即刻、取組まねばならない」。 |
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大会では、ウラン兵器の使用は、現行の国際人道法、人権法や環境法に反するものであり、「ウラン兵器禁止条約」の締結をめざして国際キャンペーンを強めることが重要であることを改めて確認した。 |
この条約は、単なる禁止ではなく、(兵器の使用のみならず)その製造・運搬・貯蔵・試射・売買などの全てにわたる禁止をめざすものであり、また被害者への支援・補償を行わせるためのものでもある。 |
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会議は同時通訳による英語でなされました。より詳しい内容については、『NO DU劣化ウラン兵器禁止を訴える第3回世界大会』日本語版公式サイトをご覧ください。動画もございます。 |